豊島区、池袋、要町

私は埼玉県坂戸市在住であり、東武東上線を使用して都内に出ている。

東上線は学生時代から数えるなら、15年近くお世話になっている。なので人生の1/3くらいは東上線に揺られているわけだ(大袈裟?)。

埼玉県民はいずれの路線を使用しても大体は池袋に辿り着く。池袋が埼玉の植民地と言われる所以である。

そんな割には池袋は東京感を醸し出そうとしている。で、田舎感もたんまりある。そのミクスチャーが埼玉県民にはどこか安心できる空気なのだ。ちなみに新宿や渋谷などに行くとそわそわしてしまい歩きかたがおかしくなったりする。

私はその池袋の外れにある要町という街でシェフをしている。池袋西口を出て、表面的にとても綺麗になった芸劇前の西口公園を抜け、母校である立教と華やかな学生たちを横目に見つつ進むと、どんと流れる山手通りの向かい側に我々の店はある。

学生時代は立教を越えたエリアに立ち入ることはなんの必要もなかったので経験がなかった。全くの土地勘はなく、たしかミニストップが一件あってそこでハロハロを食べたような気がするが、この地に戻ってきたときには無くなっていた。

要町は池袋近辺や新宿などに勤めにいく単身世帯や、昔からの持ち家の家族などが住まわれている。商店街には何十年も前から続く肉屋魚屋八百屋があった。マスターがウイスキーをやりながら客を待つバーもあるし、同時に新しい人たちがお弁当屋さん、パン屋さんや古着屋さんをやってたりしている。

二世帯同居みたいな、それぞれの個性を持ちながらも要町という街に一緒に収まっている感じが楽しい。

あまり要町に用事があるということも多くはないかもしれないが、良い店は本当に多いのだ。気が向いたら、ぜひ訪れてみてほしい。