私は四年制大学を出てから料理の道に入った少しイレギュラー組です。
料理人になる人たちは、殆どが調理師学校に通います。学校で基礎をしっかりと学び、調理師免許を取得しているわけですから、レストランに入った時には即戦力…といかないのが面白いところです。はっきり言えば技術も知識も、学校に通ったかどうかではそう変わりません。
普通の大学を出て料理人を目指す人間は、それなりの覚悟を決めて道を逸れるわけですから、そこから独学でかなり勉強するパターンが多いです。事実、調理師学校を出ていない、或いは脱サラした、などのイレギュラーな料理人でミシュランに掲載されるレストランを持つ方もちらほら見受けられます。
意外と?私はひねくれ者でして、人に合わせたり、同じことをするのが苦手な質なのです。就職説明会にスーツを着て行ったとき、幕張メッセかどこかの大きなホールが、同じ黒のリクルートスーツの人間で埋め尽くされているのを見た時に拒否反応を起こし、1時間足らずで友人を残して会場を出てしまいました。
大学を出て料理人の道に進む…というのは、本人からするとやりがいがあって自分の腕を試せるということですが、親からするとせっかく大学に行かせたのに…という気持ちです。特に私は長男ですから、安定した職に就いて良い給料をもらってほしいという期待があったでしょう。
大学を卒業と同時にバイトしていた夫婦経営のイタリアンに就職しました。厳しくも、我が子のように面倒をみてもらい、結局7年ほどをその店で過ごし、基礎からしっかり学ばせてもらいました。
続く