ペッペズッロ二日目、シェフのペッペがディナーに誘ってくれた。
私と同時に研修に来ている女性シェフがいたので、その方とペッペ、私の3人でオルサーラ村中心部のピッツェリアに行くことに。
ピッツァはとても美味しかった。かなり大きめだったが、コルニチョーネという耳の部分は空気しか入っていないように軽く柔らかだった。
特にウンブリア産タルトゥーフォ(トリュフ)をたっぷりかけたピッツァは素晴らしかったし、他では見かけないものだった。
私たちのテーブルは、年配のペッペ、私よりひと回り上の女性シェフ、私、というパーティーであったため、4枚注文したピッツァの1/2近くを私が食べることになり、腹はパンパンすぎるほどになった。
ペッペはディナーや町や、果ては企業見学まで!度々連れ出してくれ、色々なものや場所を見せてくれた。
根底にはその土地への関わりと感謝と情熱があった様に思える。大都市ローマから来ると、地の果てのような場所だったが、果てのない大自然と小さな村が、どれだけ豊かな場所なのかということはペッペのレストランと料理を見れば分かった。
技術や機材に頼っているのではなく、その土地が生み出すものこそが最上にして唯一の食材であることを示していた。営業の前に摘んできた野草や花は、トリュフやキャビアのように恭しく皿の上に添えられた。
土地に対する愛と誇りが料理の根底にあった。それに気づいたとき、自分がまるで中身のないように思えた。イタリアとその料理の知識だけを付け、自分の土地のことは何も知らない…なんて虚しいことだろうかと思った。
そして、日本に帰ったらまずは日本を、自分の土地を知らねばならないと決めた。
続く